イベント詳細

【第15回日本蛋白質科学会年会(徳島)でのワークショップ開催】

会期:2015年6月24日(水)~26日(金)
会場:あわぎんホール(徳島市)
年会長:辻 明彦( 徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部)
HP:http://www.aeplan.co.jp/pssj2015/

Workshop 3WB「動的構造生命科学を拓く新発想測定技術」
日時:6月26日(金) 15:00~17:30
会場:B会場(4階大会議室)
オーガナイザー: 神田 大輔(九州大)、西田 紀貴(東京大)
使用言語:日本語
概要:生命現象の本質を理解するには、タンパク質などの生体高分子が実際に働いている細胞環境などの現場において、過渡的にしか存在しない準安定状態を適切な手法を用いて動的に観測する必要があります。磁気共鳴法、原子間力顕微鏡、 結晶解析手法などの計測手法を新発想に基づいてさらに強力な計測手法へとバージョンアップし、構造生物学の新分野として「動的構造生命」を開拓します。

3WB−1 “結晶コンタクトフリー空間“ を利用する新しい結晶解析技術を用いて蛋白質分子の内部運動の 空間分布を視覚化する
○神田 大輔 (九大・生医研・構造生物)

3WB−2 ダイナミックに動作中のタンパク質分子を直接可視化する高速 AFM
○安藤 敏夫 1,21金沢大・理工・数物、 2金沢大・理工・バイオ AFM センター )

3WB−3 ダイアモンド粒子の窒素 - 空隙中心 (NVC) を用いた生体・細胞の ナノジャイロセンシング手法の開発
○白川 昌宏 1、五十嵐 龍治 1、久美屋 雄太 1、杉 拓磨 2,3、外間 進悟 1、杤尾 豪人 4、 吉成 洋祐 2、原田 慶恵 21京大院・工 ,2京大・iCeMs、3JST, さきがけ、 4京大院・理 )

3WB−4 生細胞内の生命現象を活写する in-cell NMR 法の開発と応用
○西田 紀貴、嶋田 一夫 (東大院薬)

3WB−5 マルチレゾリューション法を用いたタンパク質複合体の動的構造解析
○杉田 有治 (理研・杉田理論分子)

ワークショップの報告1

動的構造生命蛋白質科学会ワークショップ報告記

岡山大学 菅 倫寛

この度、蛋白質科学会年会で本領域が主催した、「ワークショップ動的構造生命科学を拓く新発想測定技術」に参加しましたのでその様子をご報告させていただきます。私は同年会の奨励賞シンポジウムでの発表があったため、1日目の午後に徳島に到着しました。この時期の徳島は日が暮れる頃になると各地で阿波踊りの練習がはじまり、どこからかチャンカチャンカチャンカと心地よい祭囃子が聞こえます。それらは自然と耳に入り、煩わしい日常を忘れさせてくれました。2日目の懇親会では年会参加者のお祭り気分はさらに盛り上がり、神田先生をはじめとする多くの参加者が阿波踊りを踊りました。その場の雰囲気というのもあったかと思いますが、ご活躍されている先生ほど積極的に踊っていたようでした。阿波踊りでは「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々」と唄うことで有名ですが、これを研究者流に解釈すると「挑戦的なテーマを人がやっているのを眺めているよりは失敗しても良いから自分もやってみよう」といったところでしょうか。そのようなおもしろい一面が垣間見えた懇親会でした。
本領域の主催するワークショップは3日目にあったためか、参加者の数は大きな会議場を埋め尽くすほどではありませんでした。参加者の層としては約4分の1が領域関係者、残りがそれ以外の年会参加者という具合でした。領域と直接関係の無い参加者の内訳は私の知る限りでは結晶構造解析、NMR、分光法、電子顕微鏡、理論計算などを主な研究手法として構造生物学分野を専門とする方が多いようでした。年齢層は学位をとったばかりの若いポスドク研究者から華々しく第一線でご活躍の教授までさまざまであったので本領域が幅広い年齢層の構造生物学研究者に関心を持たれていると感じました。
これまでは視覚的に捉えることが不可能とされていた対象を可視化することのできる、新しい測定技術に関する発表内容が多かったためか、会場からの質問はそれらの手法の有効性・有用性に関するものが多かった印象を持ちました。一般的に新規の測定技術を用いた新しい研究では必然的に研究者人口も少なくなり、さらに既存手法に馴染み深い研究者から新手法を値踏みされることもあります。しかし新規の測定技術を用いた新しいサイエンスが次々と生まれていくうちに「自分のサンプルでこんな研究がしてみたい」と思い、分野に参入してくる研究者が指数関数的に増えていくのではないかと思います。私自身も本領域に採択していただいたおかげでX線自由電子レーザーを用いた新しい研究に挑戦する機会を頂きました。大言壮語かもしれませんが研究者人口を拡大できるような面白いサイエンスができるように心がけたいと思います。

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ワークショップの報告2

「動的構造生命科学を拓く新発想測定技術」ワークショップ報告記

東北大学多元物質科学研究所 奥村 正樹

2015年6月24-26日徳島で開催されたタンパク質科学会年会において、新学術領域「動的構造生命」ワークショップに参加しましたので、私が感じたままに、班員の皆様をはじめ多くの方々に当日の内容や雰囲気を少しでもお伝えできればと思います。
最初に領域代表である神田先生からATP合成酵素の回転を例に、生体分子にとって動きが機能発現にとって重要であり、現在構造生物学が抱える問題点「タンパク質構造における平均と分布」や「in vitroとin vivoタンパク質構造の相違」を提起されました。そういった問題点を解決するため、本ワークショップでは前半に結晶構造解析(神田先生)と高速AFM(安藤先生)、後半に光検出磁気共鳴測定法(白川先生)とインセルNMR(西田先生)、そして最後にマルチレゾリューション法による動的構造の理論解析(杉田先生)、など幅広く構造生物学の新しい技術開発発想の最前線の話題を提供し盛況でした。
神田先生の結晶コンタクトフリースペースの内容に関しては、タグタンパク質と目的タンパク質をヘリックス性のリンカーで接続し、結晶コンタクトフリーな隙間を意図的に作るという内容でしたが、結晶化する上で適切なリンカーの設計が難しいように感じ、実際にワークショップ終了後神田研・松岡さんとリンカー部分のヘリックスの安定化について議論し色々と実験上の工夫など伺うことができました。安藤先生は、自身が開発された試料ステージ走査方式高速AFMを用いこれまで様々な生命現象の分子レベルでの直接観察に成功されておりましたが、さらにプローブ走査方式の装置開発も行っておられるとのこと、高速AFMの使い易さの向上を目指されており、将来的に光ピンセットと組み合わせたフォールディングの観察など様々な測定法の可能性に大いに興味を持ちました。特に高速AFM測定は500回以上タッピングしてもタンパク質構造が壊れず、低侵襲性であることは実際私自身も実感しており、将来プローブ走査方式の使用が楽しみです。白川先生は、蛍光安定性が高いダイヤモンド(1番小さなダイヤモンド粒子は5 nmで大体GFPと同じくらいの大きさだそうです)を利用し光検出磁気共鳴のための分子プローブとすることで、1 分子レベルで生体分子のダイナミクスを計測する手法の開発と実例をお話しされていました。西田先生は、インセルNMRの実例を2点挙げられていましたが、私が印象に残っているのは特にチオレドキシンの内容でした。定常状態のチオレドキシンの活性部位のシステイン残基は還元状態で存在しますが、酸化剤diamideを加え酸化されるところを観測されており、細胞内でのチオレドキシンの活性部位の酸化還元電位を直接求めることができるところは技術的に興味深かったです。最後に杉田先生は、フォールディング、分子認識や生体膜中での膜タンパク質の会合等について実験的手法で解析するのが困難な現象に対し動的構造の理論解析からのアプローチについてのお話でした。
おわりに、班員の菅さんが本年会において若手奨励賞を受賞されました、おめでとうございます。今後本領域がますます活発化できるように私も微力ながら貢献したいと思います。

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