イベント詳細

【XXVII ICMRBS 第27回生体系磁気共鳴国際会議(International Conference on Magnetic Resonance in Biological Systems)】

会期:2016年8月21日(日)〜26日(金)
会場:京都国際会議場
主催:神田大輔(九州大学)
Webサイト:http://www.icmrbs2016.org
Chairpersons: 甲斐荘正恒(首都大学東京、計画班分担研究者)、嶋田一夫(東京大学、総括班員)、阿久津秀雄(JSPS Stockholm office、総括班員)

概要:新学術領域としてセッションの1つを共催し、稲垣冬彦先生の追悼セッションとした。
セッション日時:2016年8月25日(木)15:15-17:30
会場:京都国際会議場 RoomD

神田が座長を務め、最初にセッションの趣旨説明を行った。

Opening remarks

Daisuke Kohda (Kyushu University)

"Structure and Dynamics of the Human a-Lactalbumin Molten Globule"

Christina Redfield(Department of Biochemistry, University of Oxford, United Kingdom, )

"Design of Integrin-Specific Drugs for Cancers"

Woei-Jer Chuang Chuang(National Cheng Kung University, Taiwan)

"Cell Biology Using Nanogyroscope by Optically Detected Magnetic Resonance (ODMR) Spectroscopy"

Masahiro Shirakawa(Graduate School of Engineering, Kyoto University, Japan)

"Structural Mechanism of Tsg101 Role in HIV-1 Budding"

Nico Tjandra(NHLBI, National Institutes of Health, United States)

"Functional Regulation Through the Dynamic Ensembles of Protein Structures Mediated by Intrinsically Disordered Region (IDR)"

Shin-ichi Tate(Dept. Mathematics and Life Sciences, Hiroshima University, Japan)

学会報告

ICMRBS見聞録

藤波大輔(九州大学生体防御医学研究所)

夏の京都は暑い。私はそれに負けず劣らずのHotな国際学会に参加した。International Conference on Magnetic Resonance in Biological System (ICMRBS) 2016は2016年8月21-26日の6日間、国立京都国際会館において開催された。ICMRBSは1964年から開催されている歴史ある国際学会で、NMR(核磁気共鳴)の生体系への応用をテーマにしている。

初日のopening ceremonyに続くkeynote lectureでは2002年に「タンパク質を構造解析する手段としての多次元核磁気共鳴法の先駆的研究」でノーベル化学賞を受賞したKurt Wüthrich先生(スイス、ETH)が、溶液NMRを用いた生体高分子の研究について、歴史、最新の研究成果、今後の展望を交えた講演を行った。ご高齢にもかかわらず精力的に研究(19Fを用いたGPCRの動的構造変化に関する研究など)に取り組まれる姿に感銘を受けた。19Fは1Hに匹敵する高感度な核種で、SH基を介してタンパク質の任意の場所に導入することができる。よって19Fは多様な薬剤の結合に応答したGPCRの局所構造変化を検出できる有用なプローブになるそうだ。

6日間の学会を通しては、生体膜を模したnanodiscを用いた膜タンパク質の研究、生きた細胞中にあるタンパク質を観測できるin cell NMR、固体NMRによるタンパク質の異常凝集機構の研究、動的核分極(DNP)法を用いた NMR測定法の開発に関する講演が多かった。中でもMitsu Ikura先生(カナダ、Toronto大)のplenary lectureは学会最終日朝一番の活力を失った私の脳にも響いた講演であった。Ikura先生の講演のテーマは常磁性イオンを係留したnanodiscを用いた、Rasタンパク質(低分子量GTP結合タンパク質のひとつ)と生体膜の相互作用解析についてだった。Rasタンパク質に起きた変異が、生体膜—タンパク質間の相互作用様式を変化させることで、がんを誘起するという綺麗なストーリーに感銘を受けた。

ポスターセッションでは、私の研究対象である、糖転移酵素についてSophie Weissbachさん(ドイツ、Lübeck大)やNamal Pereraさん(台湾、IBC)と有意義な議論を行うことができた。また、ポスター発表の聴衆者からいただいた研究に関する助言や意見は、今後の研究に生かせる貴重なものだった。

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